いや、
私は別にそんな
スマホだだ漏らし音人間のことを書きたいのではなかった。
チョコクロ。 サンマルクカフェに、
チョコクロと、アイスコーヒーを飲みに行ったということ。
帰り道。
雨の上がった歩道を歩きながら、考えている。
どう言えばよかったのか、を。
結局前述のカップルは誰かからの着信&通話を皮切りに店を出ていった。
それからまたしばらく、本を読み、
チョコクロをかじり、アイスコーヒーをすすり、
ただ到着したのが夕刻だったのでもう日も暮れたころかもしれないと立ち上がり、本をリュックにしまった。
アイスコーヒーが3分の1くらい残っていたので、
店員さんに声をかけ、持ち帰り用のカップに入れかえてもらうことにした。
パンコーナーの前にいた若い男性店員にお願いし、
彼は私のコーヒーを持ってレジの内側へと回りこんで入り、
そこでプラスチックの容器にアイスコーヒーが移動させられている。
ふと、気づくと、
目の前、ちょうどレジ前に立っている店員さんが
一生懸命に何かをいじっていた。
いじっている、というか、
めくっている、というか、
その人は、
移しかえられたコーヒーのプラカップにさすための
ストローの袋を開けようとしているのだ。
「新しいストローにおとりかえします。」
と言ったのはお願いした方の店員か、
今ストローの袋を一生懸命開けようとしてくれている、
若葉マークの名札をつけた店員だったか。
とにかく、入れかえた後の作業(紙の袋に入れたり、新しいストローをさしたり)を、
その先輩店員からやるように指示を受けたらしかった。

開ける、と書けなかったのは、
とにかく目の前の店員さんが、ストローの袋の開封に
難航していたからだった。
気づけば、あれに似ていた。
りんごの、皮むき。
そのくらい、レジの中にいる、小さな若葉マークをつけたイニシャル名札のその人は、
ストローの袋を開けるのが、難しくなっているようだった。
だから私は何度か「いいですよ、そのままで」とか
「あ、自分でやりますよ。」とか、言ったのだが、
そういうわけにもいかないらしいその人はまた新たな紙片をヒラヒラさせるなどした。
そしていくつかのヒラヒラと、残った袋の部分をびゃっとしてぎゅっと握り、もうその一本をあきらめたらしかった。
落ちつかないのはその人のさらにななめ後ろから
ずっと先輩店員がその様子をうかがっていることだ。
新たなストローが登場した時、
有無を言わさぬスピードで「いいですよそのままで!」
と言い、念のため「すぐ飲まないかもしれないし」
と理由もつけておいた。
先輩店員が一本の指も出さずに様子をうかがっているからだ。
すると若葉の彼はアイスコーヒーの入った袋にそっと
未開封のストローを入れ、申し訳ありません と言った。
だから、考えている。
何て言えばよかったんだろう。
相手の心配を、一瞬で晴らせるような一言。
何と返してあげたらベストだったのか、、
さっき数分だけ降った大雨のあとの濡れた歩道をずしずしと歩きながら考えた。
難航している彼も、その後ろの店員も、
ホッと落ち着くような何か。
結局、帰り道では答えが出なかったのだが、
家に帰って、手を洗っている時に思いついた。
アキさんだ。

これだ。
これしかない。
ああ、
こんな時、
アキさんがいれば。
アキさんがいる。
人一人につき、一人のアキさんがいる。
しかしアキさんも実体は50代の一人の人だから
AIより、イマジナリーフレンドより、イマジナリーアキさんが必要だ。
だから、人にというよりは、
自分に言ってほしい。
「いいよ〜」と。
2026年8月15日(土曜)



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