翌日に読みたかったからAmazonにたのんだ。
2020年あたり、つまりコロナが世間で騒がれていた頃から、本を読むことが極端に減ったのは私だけではないような気がする。
あの時期から、どうしても、(とくに小説)文字を追うことが少し難しくなった。
どうしてかはわからないけれど。
それでも喉を通るように読めたわずかな本についてはいつか書けたらとも思うけれど、
小説を含む、本との距離がまだつづいている。
本棚に並ぶまだ読んでいない本の数々に、
なかなか手が伸びない。
地元では行く喫茶店が限られていて、
(とはいえ東京にいる時と比べたら数は多いけれど)
喫茶店やカフェによって、置いてある雑誌のレパートリーが違う。
喫茶店によって置いている雑誌は異なるはずだけど、
そのレパートリーが重なることはある。
だからなのか、それとも別の場所でサブリミナル的に目にしていたこの雑誌を、夜ご飯を食べに行った店の入り口側の雑誌棚で手に取った。

表紙を見るだけでは勝手に「いつもの特集」だとかでくくってしまっていたけど、
開いたら「いつも」ではなかった。
雑誌の表紙をひらいて、いくつかの広告のページを越えたところに、
日本の、文芸誌4つ(『群像』『新潮』『文學界』『文藝』※掲載順)の編集長がみずから自分の編集する
雑誌の紹介をしているのだ。

前回の文芸特集との比較はできないけれど、
「文芸ブルータス」2025夏、13年ぶりの復刊とのこと。
本誌は、大きく、 「国内編」と「海外編」に分かれている。
上記4誌で掲載されたことのある短編など国内編が9作(書き下ろしが5作もあった)、
初邦訳を含む海外編が7作。
だいたい、雑誌を手にとったときにそうするように、
適当な箇所をぱっと開くと、そこに「令和ロマン」とあった。
小説の文中に。
とくに好きというわけではないのだが、なんとなくそれで買うことに決めた。
(どの文中だったかというと、上田岳弘『昨日だった気がする』 )
その場で何より私に魅力的に映ったのは、
雑誌のサイズ ギリギリまで文字が組まれていることだった。
ギリギリ、は言いすぎ。だけどほとんどA4に近いようなサイズの紙の束に、
3段組でたくさんの短編が収められているのだ。
贅沢。 夏。
翌日に読みたかったからAmazonにその喫茶店の席からたのんだ。
2025年8月
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