KA☆RI☆SU☆MA


カリスマを知っていますか。
私は知っています。
美容師のことです。

***

もうすぐ30歳の私が高校生くらいの時、
「カリスマ」という言葉が軽く流行った。
それはつまり優れた腕をもつ美容師であり、
東京の原宿あたりに多く生存しているという曖昧な情報だけが
田舎に暮らす私の元に流れついた。

29歳にして二度目の上京をして、
去年の春に高知で切ってから伸ばしっぱなしの髪が
そろそろ仙人か金八先生にしか見えなくなってきたため
美容院に行った方がいいんじゃないかと思い始めたころ、
 
「原宿で経験を積んだ腕前の美容師が、
 自分で美容院をはじめてそれが高くない料金で施術しているらしい」
 
という情報を聞き、
私もついにカリスマに!
と、田舎心に火がつき、行ってみることにしたのだ。
 

 
〜 カリスマに切ってもらうのだから 〜
 

という思いから私は入店して初めて、
「お任せします。」
と言ってみた。

カリスマの目に映る私の、
ベストヘアーがつまりは最もお洒落で似合う髪型。

私の目の映る彼(カリスマ)は40歳前後だった。
お洒落なヘアーにお洒落なハット、
ネルシャツにゆるめのパンツを履いている。
曰く、
 

「え〜お任せですか?」
「長さとかも切っちゃって?」
「このくらいがいいんじゃないかなぁ〜と思うんだけどぉ〜。」
 

あれ?
 

あれ?
 

会話が重なる度生まれるモヤモヤなんだろう。
 

「前髪とかは作っちゃいます? どうします?」
 

質問を受ける度、オマカセ気分も揺らぎ、
カリスマの質問に答えていく度に仕上がりのイメージはどんどん遠のいていった。

結果、紆余曲折。仕上がったのは、
どちらも(私もカリスマも)当初には想像もしていないヘアー。

入店時も施術中も、
薄々感じていることはあったのだが、
紆余曲折して仕上がった髪型も
友人から見れば「いいじゃん」の一言で、
それはきっとカリスマの腕の力の恩恵だと思ったので、もう1度、
先週またカットに行ってきたのだ。
 

「いやどうも〜こないだは〜。」
 

二度目に会ったカリスマは何故か私に“慣れ”ていた。

今回は「お任せ」などとは口が裂けても言わず、
店に置いてある雑誌でこんな感じにという話をした上で
カットをしてもらった。

しかしやはり切っている内にもっと短くしたくなる。
切ってもらっている最中、もうちょっと短くしてもいいですか?と聞くと、

「え?そしたらもう一回切らなきゃいけないじゃん。」

と彼は馴染みの苦笑いで言った。

そんな彼に、私は打開策をひらめく、
希望を伝えた上でお任せにすれば良いのだ!
だから再び、思い切って言ってみた。

「アーティスト風にも見えて、
 仕事できそうにも見える髪型にして下さい。」

すると彼は急に真面目な顔になってこう言った。

「それは髪型じゃなくて、
 内面から出てくるものだと思うから〜。」
 

― 馬が合わない
 

それを入店以来感じてきた。

そしてこれが、私がカリスマから卒業した瞬間である。
 

帽子をかぶった馬

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