トイレに行くと、いる。
4割の割合で、いる。
ここはオフィス。建物の上の方に位置するオフィス。
そのトイレにいるのは
虫でも、霊でもなくて、人だ。
営業部のHさんだ。
私には分かる。
なぜって派遣の私の席は出入り口から一番近い席で、
出入り口は人の出入りもさほど多くなく、
ましてや私のいる部署は静かだから。
残念ながらウォーターサーバーやコーヒーの粉も室内にあるし、
ここを外出以外で使うことがあるとすればおおむねトイレだから。
私が入ってから出るまで
2つしかない女子トイレのうちの1つのトイレに
Hさんはじっとしている。
これを書いたメモの隅に

「7分」
とあったので、Hさんは7分ほどをトイレにいるのかもしれなかった。
私の出る頃に、わざとなのかあえてなのか、
トイレットペーパーをからからとさせているがそれがフェイクであることも
私は知っている。
気持ちもなんとなくわかる。
どんな理由にせよ、そうすることはおつらいだろう。
心中お察しするし2つしかないトイレで、
いかに気づいていないふりをするか、
私は気を使っている。

2014年某日
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