ある冬、アルバイト及び派遣登録

アルバイト及び派遣の登録に行った。

天気は小雨。
年末のかけこみ登録。

前日に指定されていたビルの受付で
自分の業務だけを見事にこなしている風の
女性に入館証をもらった。

エレベーターで18階にのぼり、
開いた先の受付には電話、というか受話器と呼んだ方がしっくりくる機械が2台あった。

"登録の方は〇〇〇〇を押して下さい"

という添え書きがありその通りに押したら
受話器から女の人の声がして

今日登録に伺いました、はまぐちです と言うと
お待ちしておりました と言われた。
多分そんなに待ってはなさそうなトーンだった。

しばらくお座りになってお待ち下さい 
と言われたので
辺りを見回すと椅子が2つずつ
離れた空間で用意されていた。

2台の受話器をとり囲む、計6脚の椅子、広い空間、
まるで村上春樹の小説かキューブリックの映画のワンシーンのような、
どこか無機質なのに人の目を感じさせる何かがあった。どこかにカメラがあるのかもしれない。待ち方で採用が決まるのだ。

どこかにカメラがあるのかもしれないと思ったので左壁に置いてある雑誌を手にとることもせず
行儀よく待った。

しばらくすると右の通路の奥から女性が現れて 
お待たせいたしました と言った。

語尾の いたしました の徹底は
いつ頃完成されたのだろう。とぼんやり思う。

履歴を確認の上、業務内容や退職理由をたずねられた。
△△さんというその女性はただ私の言った内容からいくつかのポイントをキーボードに打ち込んでいるらしく、
特に相づちも私の答えを深める様子もなく、ただ私の話の要点だけを抽出して打ち込んでいるらしかった。
世間話したい! と私はムショーに思った。私が「一身上の都合により」だとか「任期満了により」とか
その辺り気にならないのだろうか、否、関係なくてもいい、突然 いやーそれにしても寒いですね とか、
急に季節とかの話したい。つまりここには義務と業務しかなかった。世間話したい!! と思った瞬間、
面接の人がせきをし始めた。何回か続いてしかもまだ苦しそうに 失礼いたしました とか言うので私は
犬のように喜んで いえいえ! 乾燥してますもんね! と言ってしまってすぐ乾燥してるは
貴社的存在に対し、失礼にあたると気づくのだった。

ふたつ並んだ内線電話

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