ー 2014年3月15日(土)
2度目の東京暮らしをはじめてまだ間もない頃 ー
「なぜ!」
「なぜ!」
私は家に帰ってから叫び続けている。
「なぜー!」
昨日アップしたのは2025年の3月、
今日は2014年の3月の話です。
どちらも本にまつわる話。
よく映画なんかでロボットやら何やら電気や器械が意思のようなものを持ち、
人間が奔走されちょっと大変なことになる、みたいなものがあるけれど、
果たしてそれは機械だけに起こることなのか。
*
今日は、5日ぶりの休日だった(普通)。
そして昨日は、お給料日だった!(初めての)
私はいつも以上に休日を楽しむ気持ちを膨らませ、
いざ、東京駅の本屋に行った。
ひと月程前に作ったその本屋の、
ポイントカードがとてもかわいく、気に入っている。
コンビニや、他の書店で欲しいと思う本を見かけても、
どうせならこのポイントカードの使える本屋で買おう、と日を改める。
ポイントカードが、
私の本の購入に拍車をかけている。
雑誌と、欲しかった単行本を3冊抱いてレジへ。
お会計は、初めてのお給料で!
ピ。
ピ。
店員さんが本のバーコードを読み取っている間に、
財布の中から例のかわいいポイントカードを探す。
かわいいポイントカードはカラフルだから見つけ易い。
ない。
見つけ易いはずのポイントカードが、ない。
「あれ?」
私は困り顔になって財布の中を探す。
すでに全てのバーコードを読み取った店員さんが、
「あれ?あらら?」
と言いながら財布のカード類をぺろぺろしている私を見つめてる。
しばらくしても見つからない様子を察して、
店員さんが
「結構ですよ。」
と言った。
顔を上げると、
明らかにお菓子を平均より多く食べていそうな顔をした男性店員が、
目の前で本を抱えてゆったりと構えている。
何が、結構なのか、念のため
「あの、忘れたみたいなんですけど、、、」
と言うと、
「このカードはポイントの後付けはできないんです。」
と彼は言った。
「じゃ、やめます。」
私はキッパリと言った。
全ての本はレジへと流れた。
取り置きしておきますか?と聞かれたが
もし他に欲しい人がいたらいけないので(といっても土佐と違って江戸には在庫はたくさんあるのかもしれないが)結構です。と答えた。
エスカレーターを降りながら
さきほどの判断は正しかったのかと考える。
せっかくならポイントが貯まる場所で、とやって来たが、
100円で1ポイント、
そのポイントを貯められないがために、
全ての本を今日あきらめたことは正しかったのか、と。
改札へと続く地下道を歩きながら
それにしても、あの店員、なぜ「結構ですよ。」などと言ったのか、と考える。
あのタイミングで結構ですなどと言われたら当然ポイントは後から加算できる、
あるいは今特別に加算してあげる、風な意味合いに聞こえるではないか、
だから私は一度キラキラした瞳で彼を見つめてしまったではないか。
「後付けできない」
その場合、彼の発した「結構ですよ。」は、
つまり
「探したって無駄でしょうよ。」に置き換えられるのでは?
なんなんだ、普段お菓子ばっかり食べているから!
もやもや考えていたら目の前に「ソフト」の文字。
ソフトクリームがパンケーキの上に乗った食べ物を売っているお店があった。
本屋に来る前に食べた夕食の量も腹八分目だったし、
本を選ぶのに頭を使ったし、甘いものが食べたい。
よし。
それは480円という高価な値段だったが、
商品も値段もどちらも私に「東京っぽい」
と思わせるものだったので、
買っていくことに決めた。
ゲットしたパンケーキ&ソフトクリームをぱくぱく食べながら
改札を抜け、階段を降りる。
甘みが私を優しくなでる。
パンケーキもソフトクリームも
それにかかったシロップもどれも甘い。
でも量はそんなに多くない。
480円か。
これが東京価格よね。
値段も含めてオシャレってことよね。
でもやっぱ高いよね。
などと考えていたら、気づいた。
これ、私が買おうと思っていた雑誌と、120円しか違わない!!!!
600円の雑誌の、
6ポイントが貯まらないというその理由で、
せっかくやって来た本屋を後にした私の前に、
電車が止まる。
これ買うくらいなら、
雑誌だけでも、買えば良かった。
*
人が良かれと思って作ったもの、
例えば携帯とかパソコンとかネットとか、まぁロボットとか、
便利になればなるほど、ついていけない人が出てきたり、
新しいものが出来上がることで付随して出てくる不便さみたいなものがある。
それは、ポイントカードにも言えることなのではないか。
+αであるはずのポイントに左右されるのならば。
「買おう」
というシンプルな動機から、
「ポイントがつかないからやめる」
「ネットで買えばポイントが5倍」
「じゃあネットで買おうか」
「ネットには在庫がない」
「もう一度本屋へ」
何かを目指して何かをちょっぴり見落とす。
私が欲しいのはポイントじゃない。
本なのだ。

2025年今読み返すと、店員の「結構です」は
どうぞゆっくり探してください
とも読むことができる。
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