会社でいらぬ考えが行き詰まったとき、
私はドラえもんのことを考える。
私の頭の中では今、
ドラえもんがお腹のポケットから胸ポケットを出している。
胸ポケットは普通の胸ポケット。
白シャツとかTシャツとかについているありふれてる胸ポケット。
色んな願いを簡単に叶えてくれるグッズが出せるお腹の四次元ポケットから、
あえて一般的な胸ポケットを出しているドラえもん。
それは、相手を怖がらせないための配慮だ。
いきなり見たこともないものを出して相手を怯えさせてしまっては、
折角のアイテムも人の為に使えないから。
見渡せば今、
他の部署の人々が喋っているのに私の所属する総務部の人たちが黙っていることも、
ドライなAさんもウェットなBさんも、
シンプルすぎて逆に伝わらないギャグを言い続ける上司も、
コピーをとるため急に走り出す営業部の女性も、
このオフィスにいる人たち皆みんなみんな、
本当はドラえもんなのかもしれない。
皆、
まずは私を安心させるために、
人らしい、オフィスっぽいことを
つつましく演じてくれているのだ。
いつか、タケコプターを渡す日のために。
「どこへ行ってもいいんだよ」
と言う日のために。
だから今、私は憧れの目で彼/彼女達を見つめている。
いつかやってくるその日、
私はタケコプターを装着し、
どこでもドアを抜けて別の国へゆく。
全ては机の上の四次元。

2014年5月29日
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