Dさん


上司が勤務初日から、
「嫌い」だと言ったDさんに関してあまり書けていないのは、
部署の中では最も関わりが少ないからだ。

だから目から入る情報だけに頼ると、

Dさんははげている。

耳から入る情報だけに頼ると、

Dさんはかなり頻繁にひとり言を言っている。
 

「あれ?これは?」

「あっ、そうか、これを、、」

「クリックして、、、」

「お、いったいった。」

「なるほどね〜。」

 
など、

耳をすませば、誰でも現在のDさんを知ることができる。
 

しかし
「ドライなAさん」や「ウェットなBさん」

などに対して

「一人言なDさん」、

というのはどうもパンチにかけるなと考えていた時、
ちょうどDさんが紙コップを持って立ち上がり、
水サーバーの元へ歩き始めた。
そして手に持っていた紙コップを
ポーン、ポーン、
と投げている。
「なぜ」
そんな言葉が頭をよぎったが、
3回目を飛ばしている最中に、
Dさんはその紙コップを落としそうになった。
「お。お。」
と防ごうとしたDさん、前に出した手の平は、
受け取るまで動作及ばず、
何故かそのコップを高くまでバウンドさせていた。
2〜3回Dさんの手によって高く飛ばされた紙コップは、
最終的に床の上に落ちた。

「あちゃ〜。」

と言いながら拾ってまた歩き出すDさんを、私は

「一人はごいた男性」

と胸中で名づけた。
 

羽子板Dさん

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