入り口入って左手の通路に位置する水サーバー、
その横にある電子レンジ、
お昼にそれを利用する者は大体限られている。
それぞれの使うタイミングも大体決まっていて、
私はあえて人とかぶらないよう、
お昼休憩すぐではなく、休憩の中頃〜終わりの頃にお弁当を食べたりする。
しかし今日は食後ゆっくりしたかったので
休憩のチャイムが鳴ってすぐ電子レンジへと向かった。
案の定、別の課の50代女生と同じタイミングになって、
どうぞどうぞと大げさにレンジをゆずり、
台の上にお弁当だけ乗せ、
1度更衣室に荷物を置きに行き一呼吸、
改めてレンジの元へ向かうと今度は体操のお兄さんがいた。
お兄さんは「どうぞ。」と先にレンジを譲ってくれた。
置いておいたお弁当をレンジに入れ、
“温め”を始めるとおにいさんは
「これはザトウクジラだね。」
と言った。
お兄さんの目線の先には私が会社で愛用しているmyマグカップがあった。
マグカップは高知県の「砂浜美術館」で随分前に買ったもので、
白地の陶器に黒いクジラが描かれている。
お気に入りのマグカップは、
私の、会社での唯一の拠り所だ。
へ? よくそれがザトウクジラって分かりますね。
私の中では一番大げさでもなく、
かと言ってそっけなくもない返答をすると、
お兄さんは
「ザトウクジラくらい分かるでしょ〜!」
と大げさに言った。
そして
「ザトウクジラとシロナガスクジラと@@@クジラくらいは分かるよ〜。」
と、更に “分かる” 種類を増やしてきた。
最後のクジラに至っては聞き取りも及ばなかった。
へぇ。とか言っておけばいいものを、
「私は分かりませんよ。」
などと言ってしまったものだから
「ハクジラは肉食だよ。」
とお兄さんは聞いてもないことまで話し出す。
(つづく)

2025年の追記
今このマグカップは(泊まりに来た前夫の友人が割ったので)もう手元になく、砂浜美術館でも取り扱いがないので、
絵を見ると胸が痛んだので上からなぞって書き直してみた。
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