いつかの朝、
上司が1階のエレベーターホールから
出口に向かって早足でやってくるところに遭遇したことがある。
それは就業開始時間、10分前の出来事。
出社時にオフィスへと繋がるエレベーターから
出口の方向に逆走してくるなんて不思議なことだと思いながら、
待っていたエレベーターに向かうと、
なんてことはない、
上司の嫌いだという同部署・Dさんが乗っていたのだった。
大変だなぁ。
と思った。
以降、上司と外出する時には、一手間かかる。
エレベーターがどこかで一度止まろうもんなら
「嫌なやつが、乗ってくるかもしれない!」
と言って上司はエレベーターホールから逃げてしまう。
(彼が苦手とする人間は1人や2人ではない。)
やってくるエレベーターが開くのを、
偶然通りかかった風を装った私がチェックし、
開いたドアの中に誰もいないことを確認すると、
「大丈夫です!」
と廊下の方へと声をかける。
そして隠れていた上司は安心して現れ、
それに乗り込むのだ。
・・・殿か。

今も遠くで彼は机の角に足をぶつけて机を蹴っている。
敵が多いのだ。
2015年2月1日
— 当時のイラスト —

🏷 上司


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