昼下がりの三角関係


 「今日は、帰れないかもな〜。」

午後2:00頃、総務課の男性社員Dさんが言った。
Dさんは確か今日の午後に有休をとっている。

ちなみに、現在の私の部署の状況は、
上司はお休み、
Bさんはお昼に帰ったので、
私を除けば
隣のAさんと、前のCさん、
そしてCさんの隣のDさんの3人が残っている。

午後2:00頃。

冒頭の言葉を受けて、隣のAさんが
「もうムリでしょ。いなよ。」
と言った。
そう言うAさんはいつもフレックス制度を活用して16:00には帰る

「そうだよねぇ。」とDさんは言った後、
「こんな日に限ってだもんな〜。
 こんな日に限ってたくさん連絡がくるんだもんな〜。
 ▽△も前は静かだったのにさ〜。」

今、Dさんはそれを一人で喋っている。
 
それを、もう、誰も聞いていない。

先ほど、レスポンスを返したAさんは
視線を書類に落としてもはや一切何も返さない。
聞いていない態度があまりに露骨だ。

Cさんは元々話に入っていなかった上、
普段からDさんの話を流す傾向がある。

そしてDさんは持ち前のマイペースさで、今も話をやめない。

「いやぁ困っちゃうよな〜。
 ふだん連絡こないのにさ〜。」

困っているのはこっちだ。
近くにいる2人が何の動きも示さないのだ。
1人が喋っているのに。

Dさんはなおも続ける。
 
「こんな時に限ってなんだよな〜。」

まるでマニュアル車の下り坂だ。
Dさんの発した言葉は一体どこに行くのだろう。

森が吸収して、
O2として還元してくれているのだろうか。

私は想像する。

木の葉が重なり木々がざわめく。

私はそこにいる。

ひとつだけ分かるのは、
AさんもDさんもCさんも、
それぞれのタフさを持ち合わせている。
 
 

森は生きている

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