はじめてのおつかい 〜おとな編〜


初めて、おつかいに行くことになった。
といっても大人のおつかいは買い物ではなく
支払いに行くことです郵便局に。

「これ、払っておいてください。」

と言われ上司に渡された振込伝票は、
一番小さい額が「8円」だった。


だから、何枚かのお札と、いくらかの小銭と、
「8円」を金庫から取り出し、
会社のお金だと区別できるように封筒に入れて私は会社を出た。
郵便局までウォークマンを聞いて良いか迷ったが、
ここは社会人、街の音だけを聞いて歩く。
何事もなく郵便局について、ちゃんと順番を守って、
窓口の人に伝票を渡し言われた額は予想通りの金額だった。
封筒から、お金を取り出す。
もしかしたら手数料が発生するのではと心配して持ってきていた100円が転がり出て、
慌てて掴まえまた戻す。
そして予定通りの金額をトレーに出し、
「どうぞ。」という顔をして待っていると、
窓口の女の人が困った顔をして
「1円、足りません。」

と言った。
 

え!!!!!!!!!!?

少しでも金庫の中の小銭を減らそうと
8円を持ってきたのだ。
それなのに、1円が、足りない!!!?
 

「1円が、なくなりました。」
とオフィスに戻って言った時の
周りの冷ややかな目や反応が頭に浮かんで目の前が真っ暗になる。

お札の下、お金を置くトレーの下、封筒の中、床の上、中下上下、
あらゆるところを、必死になって探すが見つからない。
 捜索と並行し、1円をこっそり戻す案を考えている。
しかし
その場合、後に1円が見つかった時がこわい、
ではあの1円はどこから来たのかという議題がもちあがり、
部長、課長、社長、全ての人間が集まり私のポケットマネーのことを話し合う。

今も1円玉は見つからない。
鈍い銀色はどこにも光らない。
そして今は郵便局で、ここはオフィスではないという安心感が私の本音を漏らす。
「お使いもできないと思われる!!!!」

それを聞いた窓口のメガネをかけた女性はハハハハと笑って

大丈夫ですよ。
と言った。

オフィスで感じている冷たい空気をあなたご存知かと思いながらも、
民間の心の温かさに、胸が少し溶けた。

==========================================
(OL)ブログランキングに2種参加しています
⬇︎以下のアイコンをクリックしていただけたらはげみになるのでうれしいです⬇︎

=============================

\ ランキングに参加しています。
クリック応援よろしくお願いします! /

にほんブログ村 イラストブログへ
人気ブログランキング
=============================
OL

コメント

タイトルとURLをコピーしました